7.溢れる本音

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 きゅるんとした真っ黒の瞳が、どこかコルンの黒髪を連想させて一瞬気が緩んでいた私は、自身の口にした言葉に全身から血の気が引いた。 “母グマ?”  地面に下ろしたクロスボウへと慌てて手を伸ばし、子グマから離れるように後ろへ下がる。 “こんな場所に子グマだけでいるはずがないわ!”  ならば近くに母グマがいるはず。  そして森の王者であるクマの縄張りに入ってしまったのなら、他の動物がいなくても不思議ではない。 「私上級エリアに入っちゃってたの……!?」  すぐに元のエリアへと戻らなければ。  気持ちだけが焦り心臓が痛いくらいに跳ね上がる。  走ってここを離れたい衝動に駆られながら、私がエリアの脱出を試みたその時だった。 「ッ!」  のし、という確かな重量感のある足音と感じたことのない威圧感。  ゾッとする私の目の前には、私よりもずっと大きいクマがいた。  刺激してはダメだと頭ではちゃんとわかっていたのに、この咄嗟の状況に思わずクロスボウの引き金を引いてしまう。  だが狙いを定めていないその矢は、全然違う方向へと飛び木へと刺さった。 “しまった!”
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