7.溢れる本音

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 当たらなくとも私のこの行為のせいで母グマは攻撃されたと認識するだろう。  そしてそうなれば、子グマがここにいる以上ただ見逃すなんてことはせず、私をどこまで追ってくるかはわからない。  やるしかない。  殺される前に撃たなければ。  だが、女性でも高威力を出せるクロスボウという武器は、一回一回矢をセットする必要がある。 「だめ、こんなの、間に合わな――」 「アリーチェ様!」  もうダメだと両目を瞑った時、私の名前を叫ぶ声が聞こえた。  ガキン、と鈍い金属のぶつかる音がして閉じた目を慌てて開く。 “黒い、髪……”    私を背後に庇うよう剣一本でクマと対峙しているのは、たったひとりの私のヒーロー。 「コルンッ!」 「立てますか? ここは俺がなんとか」 「殺さないで!」 「ッ!?」 “思わずクロスボウを撃った私が言うことじゃないけれど”   「子供がいるのっ」  私の叫びに一瞬体を強張らせたコルンは、力いっぱい剣でクマの爪を弾いたと思ったら私の隣まで後ろに飛ぶようにして近付いた。 「俺を信じてください!」
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