8.今度は向かい合って最初から

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「俺も、です」 「え……」 「俺も、アリーチェ様のことをずっとお慕いしておりました」 “コルンが私を?”  彼の反応で若干期待していたが、直接告げられる破壊力ったら想像以上で、さっき必死に堪えた涙がまた溢れそうになる。 「で、でもコルンはそんな素振り全然なくて、あんな書類だって用意してるくらいだし」  信じたい気持ちと僅かに残る不安な気持ちで感情がぐちゃぐちゃになりながらそう問うと、コルンの少しかさつく剣ダコいっぱいの大きい手のひらが、私の手へ重ねられた。 「俺はアリーチェ様を庇った時に出来た矢傷を恥だとは思っていません。ですが世間的には違う印象を持たれるということも知っています」  私を庇って出来た背中の傷。  騎士にとって背中の傷とは、敵に背中を見せたから出来る『逃げ』傷とされる。  そのため背中にある傷は騎士にとっての恥とされていた。 「だからこそ責任感の強いアリーチェ様は、この傷の責任を取ろうとしてくださっているのかと思っていて」 「だからあんな書類を用意していたってことなの?」  私の質問にコルンが小さく頷く。  そして再び口を開いた。
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