2.その常套句、いただくわ

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2.その常套句、いただくわ

 コルンの休みに合わせ呼び出したのは町一番の可愛いカフェだ。  ここを選んだ理由はひとつ。決めゼリフをコルンに告げた後の溺愛実感ターンで念願のデザート一口食べさせあいっこを実行する為である。 “心にもないことを言うけど許してねコルン! 今まで以上に私の想いをぶつけるから!”  これから待っているラブラブな未来に口角が緩みそうになるのを堪えつつ待っていると、少し遅れてコルンが店内へと入ってくる。 「申し訳ありません、お待たせしましたか」 「全然いいのよ、コルン。それでその、今日私は貴方に、その、つたっ、伝えたいことがあって、えっと、来たの!」  緊張で若干しどろもどろになりつつ話し出すと、余りにも私が噛むからか彼の表情が怪訝なものへと変わる。 “でもそんな表情も格好いいわ!” 「体調が悪いなら今日は――」  この難関を乗り越えればまだ見ぬラブラブハッピーエンド。  その想いに背中を押されるように、私を心配してくれるコルンの声をぶったぎって私は大きく息を吸い口を開いた。 「私ッ、貴方を愛するつもりはないの!!」 「……はい?」
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