オルキヌスの海

10/26
前へ
/26ページ
次へ
 ──バキッ!!バキバキッ!!  ──バシャン!!  誰も見ていない海の上で、一方的に蹂躙を受ける“人間たち”。  女は泣き喚き疲れたのか気絶し、男は己の力の無さと、これから訪れる『死』に絶望していた。 「も、もう許してくれ……!今まで立入禁止の海域に踏み込んでいたことは謝る!海水浴場で騒ぎまくっていろんな人に迷惑をかけていたことも、友達の水槽をひっくり返したりしたことも謝るから……!!」  そう嘆くが、『シャチ』には届かない。しゃべるシャチ、言葉を理解するシャチとか気持ち悪いだろ?  てかこいつ、何やってるんだよ……。  ──メキィッ!!  何度かタックルしていると、変な音がした。男も気付いたようで、息を呑んでいた。 「お……終わりだ……!まさかシャチなんかに狙われるなんて……!」  涙声になっている。  そうだ。そうだ──終わりにしよう。  それに、ここまで近付くとさすがにサメじゃないと気付いたようだ。  頭良いじゃないか。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加