オルキヌスの海

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 ──────────  ───── 「なぁ、知ってるか?最近、この辺でマグロが大量発生してるらしいぜ」 「マジで?どのくらい?」 「マグロ同士がぶつからないのが奇跡ってレベルで」 「ヤバ!明日、いや今すぐに船を出そう!」  ……港で人間たちが盛り上がっている。  確かにあの銀色に輝く、黄色い棘のついた大きめの魚──マグロの数は異常だ。  つい最近までは養殖で精一杯のように見えていたが、ある日を境に急に数を増やした。  ある者は神の恵み。  ある者は天変地異。  ある者は陰謀論に紐付ける。  ……まぁ、欲望にまみれた『この星』の住民なら、誰も真実に辿り着くことは無かったと思うが。  傲慢な奴らめ。  今に見てろ、オレたちの怒りをその身に焼きつけてやる。
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