オルキヌスの海

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 ──ボボボボボボボ…………。  水中まで伝わる音。船の音だ。  奴ら、早速漁に出たのか。  こういう時だけ早いのだから、呆れるよな。 「…………………………」  黒くて大きな背ビレを遊び半分で水から出す。  静かに。静かに。  まずは牽制だ。この背ビレを見て、詳しい者はシャチだとわかるだろうが、にわかはサメだと思うかもしれない。ま、漁師なんかやっているのだから、それくらいわからないとな。 「ハッ!?あれは────」  人間が気付いたようだ。  少し遅かったが……及第点だろう。あとは種類を見分けられるかな? 「サメ──サメだ!!」  ………………こいつはバカなのか? 「ヤバいぞ、相当デカい!」  いやシャチだからデカいんですが……。  思わず敬語になっちまったよ。 「奴め、こちらに気付いているのか?」  ああ、気付いているとも。  気付いていなかったら、こんなことに時間を割くわけがないだろう?  オレは今からエンジンを狙うからな。  せいぜい頑張って逃げ回ってくれよ。  ──オレを、楽しませてくれ!
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