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オルキヌスの海
たまに夢に見る。
悠々と冷たい水の中で泳いでいた日々のことを。
あの海の中で、本物のシャチだった頃を。
5つに分かれた指先。
2つに分かれた足。
小さくなってしまった牙。
遅くなってしまった泳ぎ。
あの頃はソラに憧れていた。
しかし今はたまに──ほんの僅かに、短時間だが、暗いキラキラと輝く海の中に憧れる。
目線の高さも、声も、仲間の数も、暮らす場所も何もかも変わってしまった。
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