1.はじめまして、惑星ネーガ

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村の中にある一軒家。一際大きな長老の家。 木と藁で構成された民族的な外観の素敵な家。 おばあちゃんに連れられてきた私は、この家に来客として招待された。 そして意外と綺麗で広い居間に通された私は、高そうな模様の絨毯の上で正座していた。 「靴…脱ぐタイプのお家なんだ…この地域だけの文化なのかな?」 客に対して準備があるのだろう、裏方に行ってしまったおばあちゃんを待つ私は、思わず緊張を隠せない。 「原始的な星かと思ってたけど…クーラーもあるし意外と発展してそう?」 どうせ通じていないと思って失礼な独り言を喋ってしまうが、これくらいの文明レベルなら宇宙共通語の翻訳機くらいは持っていそうだ。 「うう…何か凄い緊張してきた…どうして私この星に来たんだっけ…」 「てかさっきから誰かに見られているような…」 そんな私を見つめる視線に気が付いた、反射的にゾッと恐怖を抱いたが、何でもない小さくてかわいい子供三人である。 「なんだお子様か…」 「ポ?」 「またポ、か…」 「ポ?ポ?」 「誰?って意味なのかな?」 「パオ!パオ!」 「はーいパオだよー」 「きゃっきゃっ」 「喜んどる喜んどる」 少しずつだが意味不明だった現地語も分かってきた、ポ?は疑問を投げかける言葉で、パオは多分女性という意味だろう。 「チョロいな…」 「チョロ、イ?」 あまり言語が発達していない印象を受けるが、こういう星は言い方というものが大事になる、逆に言えば言葉が分からなくても意思疎通しやすい。 「え?な、何でもないよーパオパオ!」 「パパ!きゃっきゃっ、パパ!」 「お父さんが何だって?」 「パ!ペ!パ!」 「あ、もしかしてパはあなたで、ペは私?」 子供たちのジェスチャーから察するに、パは自分という意味でパは相手という意味だろう、またパは挨拶の意味もありそうだ、パパが何だがよく分からないが。 「ペチ、ペチ、ペチ、プパ」 「あっ、おばあちゃん」 「パパー!」 やがておばあちゃんが飲み物とおやつを持ってくると、子供達は私から離れておばあちゃんが持っていたおやつに群がった、パパはきっとやったーとかそういう意味なのだろう。 「ペチはわざわざ三回言ったしこの子達のことかな…?」 「ぺー、ピボリピボリ」 「考えてないで食べんしゃいってことね…」 私もそろそろ自らの使命を思い出す時なのかもしれない、どうしてこんな可憐な女の子がたった一人で広大な宇宙に旅立つ決意をしたのか、その深い理由をこのチラシを添えて今から話そう。 「よし…きっと今がその時だ…第一号はこの人達にしよう…!」
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