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「アソボー!アソボー!」
「かわいい…」
「チョロイ!チョロイ!」
「それは覚えなくていいからねー」
子供達と無邪気に遊んでいるうちに分かったことがある。
「ポ?ポ?」
「どんどん子供が集まってくる…」
「ペパ?ピキャ!」
「パ!」
「まさかこいつら…人見知りか…?」
「ピヨー!ピヨー!」
「知り合いが知り合いを呼んでるし…」
それはこの星の人間は、基本的に警戒心が強く臆病ということである。
「ピヨー!ピヨー!」
「ヒヨコみたい…」
「ピヨー!ピヨー!」
「大人は陰から見守っておる…いやビビってるだけか…」
「ピキャ!」
「パ!パ!」
「おばあちゃんに会えたのはラッキーだったんだなぁ」
恐らくはそんな民族だからこそ、あまり言語が発達して来なかったのだろう、彼らの言葉は言葉というより動物の感情表現に近い。
「アソボー!アソボー!」
「よーしお姉ちゃんがもっと遊び教えちゃうぞー」
「チョロイ!チョロイ!」
「その言葉を忘れてしまうくらいなぁ!」
「ポ?ポ?」
「おおそうかそうか、みんなでやる遊びを知らんか人見知りども!」
とはいえ頭が悪いわけではなさそうで、遊びのルールくらいはイラストで覚えられるはずだ、得意のお絵描きで宙に描いていくと、後は身振り手振りで高尚な遊びであるドロケイを伝えた。
「警察と泥棒の2チームに分かれてー…捕まえたら牢屋に入れてー…」
「ペシ、ペパ、ポチ?」
「ポチってなあに?」
「ポチ?ポチ、ポポ?」
「これは多分…舐められてる感じだ…」
「パポ、ペカキ、プポ、プポ」
「うるせえさっさとドロケイやんぞ」
なお私の絵ではあまり理解されていないようで、しばらく子供達でそれぞれ絵を描きながら会議をする、彼らの絵はやたら分かりやすく、言語能力が乏しい代わりに絵で伝える文化なのだろう。
「…あっ、見て見て!お空に青いお星さまがあるでしょ?あれが私の故郷なの!すっごく綺麗で、すっごく発展した惑星なの!」
悔しさで空を見上げた私は、ふと視界に映った故郷を指差して子供達に精一杯のマウントを取った、虚しい心を故郷への想いでごまかしたのである。
「ポ?」
「そうだ…こっちの言葉は伝わってないんだ…」
「ポ?ポ?」
「えーと…うん、そうそう、あれがアジオス」
「アジ、オス?」
「私はあそこからやってきた、天才美少女宇宙人なのです。だからもっと敬えって」
「パパー」
「何か絶妙に伝わってない気がするけどまあいいや…大勢で遊ぶなんて何年ぶりだろー」
それはそうと、故郷アジオスは極度の少子化で同世代の子供がいなかった、だから私にとって子供と遊ぶのは何よりも楽しいことなのだ。
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