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表情に疲れが見えるくらい遊び倒した私は、牢屋という名のサークルの前で、捕まった子供達を見張る看守を務めていた。
楽しそうに遊ぶ子供達を眺めながら、物陰から見つめる大人達の視線にストレスを感じながら、適度にサボって脱獄を許していた。
子供に付き合う大人の大変さを噛みしめながら、この場にいる誰よりも疲れた顔をしていた、自分も大人にこんな苦労をかけていたのだろう。
「みんな元気だなー…この星は少し重力が強いのかな?気温が高いのもあるかー…」
「ポ?」
「大丈夫大丈夫…近くに宇宙船停めてあるし、ダメそうだったら迎えに来させるから…」
「ペポ……」
疲れを隠せない私を、どこか見覚えのある子供は心配そうに見つめる、そういえばこの子は最初に村はずれの花畑で遭遇した男の子だ。
「あれ?そういえば君…」
「ペポ…パポ…ペパ…ペパ…」
「お花畑の子…」
あの時はきっと人見知り故に逃げてしまったが、こうして遊んで友達になったことで、真面目に何かを考えてくれているようだ。
「…ピカ…ピカ…」
「励まそうとしてくれてるの?」
「パパ!…ペポピカ!」
「え?な、なに……」
しばらくして、何かを思いついたように声を上げると私は驚いてしまう、きっと彼は私を元気づけようとしてくれているに違いない。
「うひゃっ…!」
「パオ!パオ!」
「どこ触って……」
「パオ!ポコ!」
「はっ…!!」
しかし次の瞬間、彼は私の胸を触って「パオ」という言葉を発する、そして自分の股間を指差して「ポコ」と元気よく声をあげた。
「パオ!パオ!ポコ!ポコ!」
「まさか……」
「チッチ!チッチ!」
「そういう……」
「パオポコチッチ!」
「下ネタ……!?」
私は反射的にこちらを見つめる大人達の方を振り返った、そういえば彼らは最初に私を見て、同じような言葉を連呼してやがった。
「こいつら……!!」
案の定、その小学生レベルの下ネタは大ウケのギャグのようで、大人達は男女問わずニッコリと笑っている、周囲の子供達もドロケイを中断して連呼し始めた。
「パオパオー!ポコポコー!」
「チッチー!チッチー!」
同時に私の中からマグマのような感情が込み上げてくる、今まで真剣に解読しようとしていた言語に怒りを覚える、ある種の裏切りに心からの憤慨が溢れ出たのだ。
「小学生どもがぁぁぁぁ!!」
慣れない下ネタで顔を真っ赤にする私は、量子保存領域という名の虚空からリモコンを取り出し、近くに待機させていた小型の宇宙船を呼び寄せて、踊り狂う原住民をよそに乗り込んだ。
「うあああああああああああああ!!」
そして息をつく間もなく発進し、この惑星のありとあらゆる地域を高速で駆け巡った、ステルスモードで人々の会話を盗み聞きした、こんな最低の文化があるのは、あの地域だけだと信じたかったのである。
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