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1.はじめまして、惑星ネーガ
惑星ネーガ。
そこは私が最初に降り立った、アイワル銀河の中で、私の故郷から最も近い星。
「こんにちは!はじめまして!私ハルルカと申します!」
「………」
その星で遭遇した、第一星人の小さな男の子は、私のことをじっと見つめていた。
「えっと…お友達!お友達になろ!私の星のおかし!たくさんあります!」
「………」
友好的というよりは疑いの目で、何かを考えていそうな顔で、私の全身をじっと見つめていた。
「あ、怪しくないよ!私決して怪しい人じゃないよ!?悪い人じゃないよ!?」
「………」
確かに私は典型的な宇宙人っぽい、水色と緑色の髪の毛に宇宙用のボディースーツと、少しだけ奇抜な見た目をしてるけど、今の時代を考えれば宇宙人を見るのは初めてではないはずだ。
「パオ……」
「パオ?」
「ポチ……パオ……ポコ……」
「げ、現地語分からん…」
きっとここは田舎なのだろう、男の子の身なりから裕福ではない感じが漂うし、まったく解読できない言語というのも珍しい。
「ポコ……ポコ……チッチ!」
「あっ!逃げられちゃった…」
当然と言うべきか、ここ村はずれの花畑から、男の子は走って村の中に逃げ込んでしまう。
「くそぅ…私の完璧な計画がぁ…」
「先にお菓子を見せておくべきだったか…」
現地の子供に取り入って大人の警戒心を和らげるという、やや邪な考えが混じった作戦は失敗に終わってしまった。
「もうこれじゃ完全に不審者じゃん…」
「幸先悪すぎてなんか心臓が痛くなってきた…」
そもそも宇宙人がどうしてこんなことをしているのか、話せば長くなるかもしれないし、すぐに終わるかもしれない。
「仕方ないか…こうなったら正面突破するしかないか…!」
正面からこの原始的な村に入ることにした私は、全力で可愛い顔をして、少しだけセクシーな歩き方をすることにした。
「私は可愛い…容姿に恵まれた私なら…絶対にいける!」
自分で言うのも何だが、幸いにも私は美人だから敵視はされないだろう、可愛い系の美人だから生きているだけで人が寄ってくるだろう。
「チッチ…チッチ…チッチ…」
「よし…おじさん達の心は掴んでる…!」
しかし村のおじさん達は、物陰からこちらを見るばかりで全然寄ってこない、集落には気の良いおじさんが一人くらいいるものではないのか。
「パオ…パオ…ポコポコ…」
「(寄ってこんのかい…!)」
やがて世話を焼いてくれそうなおばあさんが、恥ずかしそうに震える私を見かねて話しかけてくれると、更なる羞恥心が私の心を覆った。
「ポ?」
「おばあちゃん…」
「ポ?」
「ポ、って?」
「パパー、ポポ、ピザピザ、パンパン」
「ちょっと待って全然分かんない」
どうやらこの星の攻略は、私が想定していたよりもずっと難しそうである。
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