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そして、勇者の末裔である亮介一家と早苗一家
「いやーー、ビールは本当にうまいな」
「わしのお陰だぞ!ユウシ」
「はあ?働いてんのは誰だと思ってんだよ」
「何を!!わしだって、年金ってやつを貰ってるんだ」
「何を偉そうに……」
相変わらず父と祖父は喧嘩している。
しかし、ここは悪くない。
狩りをしなくても肉や魚が食べられるんだから……。
「本当に、二人が決断してくれたてお陰でこんなに幸せな世界に来れたわ。ありがとう」
「ありがとう」
祖母と母の言葉に二人は照れて笑っている。
俺も、ここに来れて感謝している。
だって……。
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「いじめられてるって田中君」
「相手は誰?」
「二年の佐竹先輩だって」
「へぇーー。佐竹先輩か」
俺は、これを使って正義を貫いている。
「うギャあ」
悪い事をする奴は、いったん異世界に送ると帰ってきたら静かになるのだ。
それでも、治らない人は無限ボタンを使うつもりだ。
「この街に正義のヒーローがいるって噂聞いた事ある?」
「ある、ある」
それは、俺なんだよなーー。
友達には、自慢しちゃって。
桃花ちゃんに伝わるようにしようかなーー。
「そのヒーローは、悪い人だって聞いた事ある」
「えっ?悪役って事?」
「悪役ってわけじゃないけど。正しさを間違えてるんじゃないかって」
「何で?」
「そうそう。確かに、佐竹先輩と一緒に山木君いじめてた田中には何の天罰もくだってないからな」
えっ?
田中もいじめをしてたの……。
王子は、自分の正義を貫く事に疑問を持っていながらも……。
進むしか出来なかった。
・
・
王子達と代わった早苗達一家
「悩め、少年」
「どうした、早苗?」
「ううん。でも本当にここはいい所だよね」
「ああ。あの一家から逃れられて、病気の心配もしなくていい」
「このユクヤミ草が万能薬だって言ってたもんね」
「100歳まで生きるにしても、あそこにいるだけで気が狂いそうだった」
「最後まで、頑張って耐えたものね」
代わってもらった世界で幸せに暮らしている。
・
・
そして、王子は正義とは何かを自問自答しながら現実世界を生きている。
誰の為の正義なのか?
自分は、悪い奴なのか?
答えを見つけるには、まだまだこれを使って人を助ける必要があるのかも知れない……。
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