やってきた美人一家

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やってきた美人一家

うわぁーー。 室内は、薔薇を貴重にデザインされている。 整理されて綺麗だ。 「桃花(ももか)、挨拶しなさい」 「初めまして、河原木桃花です」 か、可愛い。 お母さんが、めちゃくちゃ美人だと思ってたから子供はもしかしてと期待してたけど、めっちゃいいじゃん。 「どこから来ましたか?」 「星三つ先の美の谷です」 「あーー、やっぱり。あちらは、綺麗な方が多いですからね。って事は、本物の河原木さん一家はそちらに?」 「いえ。醜い容姿をして居られましたので美の谷には入れずに()の谷に行かれました」 「それは、それは。お可哀想に」 三山さんと奥さんが話してる内容が全くわからない。 「あのーー。それ何?」 「あーー、知らないから話しておくんだけど。ここはもう異世界人だけの集落なんだ」 「えっ?」 「最初に住んでいた人達はね。河原木一家が嫌で異世界転生(ひっこし)を望んでいたんだ。それで、うちが全員引っ越させたってわけ」 「確か、俺達の人もそうだった」 「そうそう。ただ、うちは引っ越したいって人の願いしか聞けなくてな。そこにあんたが来たってわけ」 「俺?」 「それ、元々勇者の使ってた短剣やろ?」 「あっ、うん」 「その短剣は正義を貫く。だから、引っ越したいと思ってなくても飛ばせたってわけ」 三山さんの言葉に早苗さんが正義を貫けると言った意味がわかった。 「でも、不の谷ってそんなに酷いとこ?俺がいた場所の方が酷そうだけど」 「そんな事ない。不の谷は、賃金1ミルしかもらえないのに朝から晩まで労働させられる。1ミルとは、ここでいうと1円。その仕事がまた大変で。美の谷に行こうとすモンスターを足止めさせて帰らせる事」 「熱いお風呂にいれたり、剣山の道に案内したり……」 「何かそれ地獄を勉強する絵本に書いてあった話しに似てる」 「そうそう。早苗さんは勉強熱心で小さな頃からそういう話を読んでいたからね。異世界の地獄ってとこかな」 何か最悪な場所に送ったんだな、俺。 「だから、犬は可哀想だと思ってね。こちらで飼ってもらう事にした」 「とっても大人しくていい子達ですよ。私も夫も娘も気に入っています」 桃花ちゃんが犬を撫でている姿を見て犬になりたいと思った。 「でも、どうしてここに?」 「私は、もう結婚してるからいいんです。だけど、桃花が……」 「結婚相手を選べないからですか?」 「そうなの。私の場合は、夫が凄腕の勇者だったからよかったわ。だけど、桃花はわからないじゃない。不の谷で強いモンスターを一体かってきたものに美の谷で一番の美女を差し出すの。その日が明日に迫ってる時に現れたのが河原木さん一家で。ソフィさんの話を聞いて交換したんです」 「そうですか、安心して下さい。ここでは、桃花さんは子供ですから。それに無理矢理結婚もさせられませんから。それとあなた方を救ったのは、彼です。元勇者の末裔の今井亮介君」 「あっ、よろしくお願いします」 俺が誰かを救う日が来るなんて思ってなかった。 「ありがとう、本当にありがとう」 「いえ、何もしてませんよ」 「亮介君。来週から桃花と一緒に学校に行こう」 「えっ!本当に!嬉しいな」 「じゃあ、来週からよろしくね」 「うん、よろしく」 三山さんと一緒に河原木さんの家を出る。 「これからは、どんどん勇者として生きていけばいいんじゃない」 「そうだよな!俺、ここでなら勇者になれる」 「頑張って、お姫様と結婚しなくちゃ!」 「ば、バレてたの」 「犬よりもいいんじゃないか……」 穴があったら入りたいレベルだ。 でも、確かに正義を貫き悪を倒し!! 俺は、いつか姫様を振り向かせる。 絶対に桃花ちゃんと結婚してみせるんだ! 「頑張るよ!三山さん」 「頑張れ!少年」 異世界(あっち)では何者にもなれなかった。 だけど、俺は必ず現実世界(ここ)で勇者になってやる!!! 元河原木一家の皆様。 「何で、こんな事になってんだよ」 「知らないわよ!あんたがいつまでも五月蝿くしてたからでしょ」 「そうだぞ!だから、こんな変な場所に来ちまったんだ」 「命があるだけありがたいと思いなさい」 「ふざけんなよ!クソジジイ!クソババア!」 毎日不の谷で喧嘩をしているようだ。 「しっかり働かないと飯抜きだぞ!この#♯︎#♯︎#」 毎日、不の谷の店長に罵られる日々を送っているのだった。 一方、新生河原木家の皆様のやってきた世界。 「本当に真理亜さんは、お菓子作りがお上手ですね」 「そんな事ありませんわ」 母親である真理亜のご近所付き合いがうまく、騒音問題も解決し……。 みんな幸せに暮らしている。
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