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「べ、別にひがんで言ってるわけじゃないからね。本気でそう思ってるの」
あまりに悲観的すぎる言葉を口にしてしまい、私はあわてて取り繕った。
日鞠は気を悪くすることもなく、フッと口元を緩める。
「いつも真っ直ぐで眩しいって……それは私じゃなくて透桜子でしょ」
彼女の表情を読み取っても冗談を言っているようには見えなくて、私は「へ?」という気の抜けた返事しかできない。
「水上くんもきっとそう思ってるんじゃない? 透桜子は自己評価が低すぎる」
日鞠はやさしいからいつも私を元気づけてくれて、自信を持つようにと励ましてくれる。
だけど私は昔からウジウジと悩んでばかりで、ちっとも前に進めない。
「ま、とにかく。文化祭当日が最後のチャンスだよ。その日しか残ってない!」
そんなふうに鼓舞されても、肝心の私は水上くんに気持ちを打ち明けるシーンを想像するだけで、緊張して身体が硬くなってくる始末だ。
ずっとこんな調子でどうするのだと自分でも思うけれど、なかなか臆病な部分は直らない。
「透桜子、勇気を出して? なんでも協力するし、全力で応援するから。ね?」
日鞠が私の両手を包み、真剣な眼差しを向けて言ってくれた。
親友をここまで心配させていたのかと、少し驚くくらいに。
内向的な性格のせいで、長年思いの丈を伝えることができず、だからといってあきらめられずで、ずっと未練がましく彼を目で追うだけだった。
日鞠の言う通り文化祭当日が最後になるなら、私もありったけの勇気を出してみたい。
苦笑いしながら「ありがとう」とうなずくと、日鞠はパッと花が咲いたように笑ってくれた。
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