ブラックアウト

1/5
前へ
/5ページ
次へ

ブラックアウト

 私の生活は同じ日々の繰り返しです。通勤電車に揺られて、同じ駅から同じ駅へ私は向かいます。車窓から見える街の灯りが、寒々しく私の目前を流れていきます。  私は自宅最寄り駅少し手前でいつものメッセージを送ります。  “もうすぐ電車が駅に着きます”  ”あと20分もしたらアパートに戻れます”  ”やっと退屈な1日が終わります”  ”戸部くんに、会いたい”  ”愛してる”  このメッセージを、この時間に送るのは、三年間変わらない、私のルーチンワークです。  段々電車の走る速度が緩まります。電車が速度を失って、乗客の身体が進行方向に持っていかれるのを耐えています。身体に力を入れる乗客の合間を縫って、私は電車の扉に向かいます。ほどなくして扉が開きました。乗客がゾロゾロと電車から降りていきます。降りる乗客が多くて、私は乗客に押されながら、ホームへと流されて行きます。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加