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けれども、ヨハニスがヘレンと仲良く話す様子が多くなってから雲行きが怪しくなった。次第にヨハニスは自分の婚約者を冷たくあしらい、周囲もそれに同調するようになったのだ。
真実とは違う噂が社交界に拡散され、悪女伝説だけが一人歩きした。その結果、ルーリエは「稀代の悪女」とまことしやかに囁かれるようになった。
(……やはり、納得がいかないわ。第一、ヨハニス殿下の態度もおかしいもの。穏やかに話す方だったのに、突然手のひらを返したように敵視してくるなんて。誰も……家族でさえ、わたくしの言葉に耳を傾けてくれなかった……。どう考えても不自然よ)
だけどもう、自分には時間がない。残された時間はあまりにも短く、誰ひとり味方もいない状況で打てる手などあるはずもない。
できることは女神に慈悲を請うぐらいか。
それとも悪女らしく、呪いの言葉を吐きながら民衆に悪態をつくべきか。
いずれにしろ、理不尽な人生の終幕だ。婚約者を横取りされただけでなく、悪女として裁かれるなんて。一体どこで運命の歯車は狂ってしまったのか。
(せめて来世は無難に生き延びたいわね……)
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