届けたい想い

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「とりあえず…それ、返してくれる?」 「何これ?」 「いや、別に」 「不法投棄?」 「いや、そういうつもりじゃ…」 「何か入ってんじゃん」 「返してってば」 「何、手紙?」 「開けないで‼︎返して…」 駆け寄って奪い取ろうとすると、吉岡はビンを持った右手を高く上げた。 「何が書いてあんの?」 「返してよッ…返してくれないなら本当に身投げするから‼︎」 「ハァ?」 吉岡の右手は上がったまま。 感情の昂っている私は海に向かって走り出す。 「おい‼︎バカ…」 膝まで水に浸かった所で吉岡に後ろから抱きしめられた。 「…」 「ほら、返すよ」 返されたビンを握りしめて砂浜に上がった。 後ろから吉岡が黙ってついて来る。 「うち、ついて来て。お兄ちゃんのズボン貸すから…」 「あぁ、(わり)ぃな」 そのまま、少し距離を取った状態で家に向かって歩いた。
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