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二人でこれからの話をする、そう考えた沙希は、有り合わせでこしらえた簡単な夕食後、お茶を入れた。 少しでも落ち着いて自分のペースで話せるよう、お気に入りの台湾ジャスミン茶にした。 硝子のティーポットの中で茉莉花が綻んで揺れている。 光広の前にお茶を置いて、沙希はその前に座った。真正面から彼を見た。 出会った二十歳の頃より増えた体重はガッシリとした大人の男の身体になっている。髪の白髪も増えたが『ロマンスグレー』というやつか。顔の皺も年なりにしっかりある。 『50歳っていっても落ち着いた雰囲気で貫禄…? それも男性の魅力になるんだろうな』 『私は歳をとっただけ…? 増えた体重も、丸くなった身体も、皺も、どれも魅力にはならないよね…』
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