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沙希は離婚後、結婚前の旧姓にもどした。光希と沙恵も、一刻も早く父親と縁を切りたい、籍を移したいと言っていたが、学費を払ってくれている父親に対する礼儀として、大学卒業後までは名字を変えないよう、沙希が説得した。 光広から慰謝料として、家の名義を沙希の個人名に書き換えてもらい、娘達に対しては卒業するまでの学費を最後まで払う事を約束してもらった。 礼子には200万円を請求。すぐに一括で銀行に振り込まれた。もっと請求してもいいですよ、と弁護士はいっていたが、沙希はお金が欲しいわけではなかった。 ただ、石田礼子が私達の家庭を壊したという証拠を残したかった。 実家の両親は沙希達の行く末を静かに見守ってくれているようだった。 沙希の兄は大学卒業後、食品会社に就職し、同僚の女性と結婚。子供がいないので光希と沙恵を自分達の子供のように可愛がってくれていた。 数年前からブラジルで仕事をしているので会う機会が殆んど無くなったが、メールで連絡を取り合っていた。 「こんな事になるなら、アイツと付き合うって聞いた時、いや、結婚するって聞いた時、もっと反対しておけばよかったよ! 沙希にはもっと良いヤツがいたのに!」
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