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旧姓の梅崎沙希として博物館に戻った沙希は、館長だった宮本博士が引退していたので秘書業務ではなく、展示の企画や館内施設の案内など、学芸員として仕事をしていた。 『妻』や『母』をしていた時の沙希はブラウスとスカート、ワンピースを着る毎日だったが、フルタイム勤務で博物館に戻ってからは心機一転、気が引き締まるパンツスーツを着て出勤するようになった。 黒いセオリーのパンツスーツを何着か新調し、デパートで新しい化粧品を揃えなおした。 『初心にかえる』、そんな気持ちで出直したかった。
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