2

2/2
前へ
/70ページ
次へ
いやぁ、ホントに驚いた。彼女と知り合いになれるなんて、イヤ、知り合いどころかもう友人ぐらいにはなってるんじゃないか。 バーで飲んだ後は、なかなかタクシーがつかまらないという事を理由に同じタクシーに乗って彼女のマンションまで送って行った。 車の中でもお酒の勢いもあり、話が弾んだ。彼女もスコッチウィスキー好きでアイラウィスキーの話で盛り上がった。俺と同じウィスキーバーによく行くらしく、次はそこで会いましょうと、連絡先も交換した。 最高だ! 天高く舞い上がった気持ちで家に帰った。が、現実は… 舞い上がった気持ちのまま、石田さんと出会った事を沙希に話すと、みるみる表情が変わっていった。 これ以上、家で彼女の話をするのはやめよう。 その夜、石田さんからお礼のメールを受け取った。 風呂から出た後、ダイニングテーブルの上に置きっ放しにしていたスマートフォンからメール受信通知が光っている事に気が付いた。 石田さんからのメール。 沙希はカバーをかけていない携帯電話に表示されたメールに気が付いたのだろうか…? わからない… 単なるお礼のメールぐらい、見られてとしても問題は無い。ただ、今回は今までとは違う。沙希の機嫌が悪くなりそうだ。 これからは携帯電話の在り処にも気を付けよう。沙希の性分では、人の携帯電話の中身を勝手にチェックする事は無いだろう。ただ、今までのように適当な所に置いていて、送信者やメッセージが表示されたものが目に入るかもしれない。いや、非表示にしておけば大丈夫か。 光広は今までになく、慎重に考えた。 何としても、せっかくできた石田礼子との縁を繋いでおきたかった。 「是非、飲みに行きましょう」 それが光広と礼子の始まりになった。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

859人が本棚に入れています
本棚に追加