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もう1年以上、沙希とはしていない。いや、もっとか。 沙希は光広が初めての相手だった。 初めての反応が初々しく可愛かったが、二人でセックスを楽しむ前に沙希は妊娠した。そして立て続けに二人の娘を産んだ。 母、家族になった沙希を抱きたいと思う事が無くなった。 1年に何度か抱き合う。家族として同じ部屋で寝る。そんな関係になった。 沙希も夫が外の女性とつながっていると、薄々気が付いていた。ただ、短期間のお付き合い、浮気であって、彼の気持ちは自分たち家族にあると信じていた。 最近の、ちょっとした違和感。なんとなく違う感じ。 光広がスマートフォンを操作する表情が以前とは違う。 沙希は感じていた。 土曜日の朝、沙希は少し寝過ごしてしまった。 最近の光広の様子、違和感、あれこれ考えるとなかなか寝付けなかったのだ。 隣のベッドに、光広はもういなかった。 沙希が着替え始めてて時、先に起きていた光広が寝室のドアを開けた。 「はっ、見事に垂れてる。デカパイがタレ乳になったな。は、はっ」 「今からジムに行ってくる、夕食もいらないよ」 そう言い残して出て行った。 沙希は初め、何を言われたのかわからなかった。しかし、じわじわと怒りと情けなさがわいてきた。涙が出ていた。 暫く動けなかったが、娘達が出掛ける支度をする音で我にかえった。 あの子達にこんな顔を見せてはいけない。
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