雨の魔女

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突然世界に激震が走った。それは、突如川、海が干上がったのである。 原因はわかっておらず世界の終わりと叫ぶ者たちも出てきて世界は混乱に陥っている。 「随分と大変なことになっていますね。表は」 「ええ、あの連中も面倒なことを起こしてくれたわ」 二人の女性はそう話す。 「師匠どうするんですか?」 「表がどうなろうと関係はないけれど魔女たちによってこの事態を引き起こされた以上は私たちが動かないといけないからね」 「そうこないとです」 二人の女性、師匠と弟子の二人は世界を元通りにするために動く。 「さて、まずはあの馬鹿どもの粛清から始めようかね」 「はい、師匠。それで、居場所はわかっているんですか?」 「ああ、これを見な」 そういって師匠が見せたのはあるテレビの映像である。そこに映っていたのは 「えぇ、魔女が思いっきりテレビに映ってるじゃないですか」 今回の事件を引き起こした魔女たちが中継されており魔女たちは慌てふためいている様子が映し出されていた。 「元々は海溝が深いところだからねこんなことになると思っていないから慌てているんだろう」 「やっぱり彼女たちにも想定外だったんですね」 「ああ、全く何がしたかったのやら」 師匠はため息を吐いた。 「それじゃあ、早く行きましょう!」 私が行こうとしたら師匠に止められた。 「バカ者このまま行ったら私たちまで映るだろう」 「あ、そうでしたね」 「全く」 師匠はため息を吐きながらも魔方陣を描いていき魔法を発動する。 「さて、これで結界の中にいる者の姿は見えなくなった。行くぞ」 「はい!」 「ちょっとどうするのよ!」 「知らないわよ!?」 「あなたが言い出したんだから何とかしなさいよ!」 「そうだけど。魔法はみんなで作ったんだから私のせいじゃないでしょ!?」 「とにかく今はあのヘリコプターを何とかしないと全世界に中継されているじゃない!」 私たちが着くと原因の魔女たちが責任を押し付けており混乱した魔女たちだらけである。 「はぁ」 「師匠大丈夫ですか?」 「そう見えるかい?」 「いいえ」 「全く。あんたたちいい加減にしな!!!」 師匠が魔女たちに向かって怒鳴る。 「ヒッ!」 「あなたは・・・」 師匠の怒鳴り声に混乱していた魔女たちは短く悲鳴を上げ師匠を見つけるとたちまちに静かになった。 「既に私の張った結界の中にいるからヘリの連中にもテレビから見ている連中にも姿が消えたように見えているから安心しな」 「あ、ありがとうございます」 一人の魔女が礼を言う。 「それで、あんたたちは何でこんなことをしたんだい?」 「えっと、その、海水浴をしているリア充がムカついたのでほんのちょっとした出来心で少し海の水を減らしてやろうかと思って」 「へぇ」 師匠はそれだけしか反応しませんでしたがマジ切れしているのは間違いありません。 「あんたたちにはこの件が片付いたら罰を与える。いいね」 「は、はい・・・」 魔女たちは師匠の言葉に逆らわずに大人しく了承した。 師匠は魔女たちの存在を表に出さないようにするために対応する魔女ですが彼女たちは何時も突発的に動いてしまうために魔女たちを管理しているところから牢屋に入れられ出所後も監視がつけられているが何故かその監視がおらずこんなことになってしまったのである。 「さて、弟子。ここからはあんたの得意分野だ」 「私の得意分野なんて言わないでください。まだ、この能力は好きになれないんですから」 「そういうな。今回はお前以外に適任者はいない」 「はぁ、わかりましたよ」 私はそう言うと自分の魔力を解放する。 すると雲が突如として湧いてきて小さい雨が降り出し少しずつ雨粒が大きくなり土砂降りとなった。 「ふぅ」 「さて、他のところでもやるぞ」 「はい」 「これが雨の魔女」 魔女の一人が呟いた。 私は魔女たちから雨の魔女と呼ばれている。私は雨を降らすことが出来る力を持っておりこの力が発言した当初は制御できずに川の氾濫や土砂災害を引き起こし大勢の人の命を奪ってしまったのである。 いつも雨上がりには凄惨な光景が私の目の前に広がっていた。 その後、世界各地を回り雨を降らせ続け雨が上がるとそこには海が元通りになり川も流れ始め世界は危機を脱したのである。 人の命を奪っていた私の能力が人の命を救うことに使う日が来るとは思ってもいなかった。 「私の能力がこんなことに役立つとは思ってもいませんでした」 「いつも言っているだろう能力は使い方次第で人の命を救うことだってできるんだ。特にお前の能力はコントロールすることが出来れば。日照り続きの場所に雨を降らせ恵みを与えることもできるのだから」 「はい、師匠」 「今回の件で彼女たちは二度と魔法を使えないようにされ記憶も改竄し表に放逐することになった」 「まぁ、そうでしょうね。表の人たちの対応はどうなったんですか?」 今回の件で魔女たちの存在が明るみになってしまい対応をどうするのか協議されている。 「それなら、全世界に向かって記憶を改竄することになった。お前にも参加してもらう」 「わかりました」 その数日後に大規模な魔法により世界は改竄され魔女たちの存在は表から消され何時もの日常が戻ってきたのであった。
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