何かが変わっていく予感〜廉〜

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何かが変わっていく予感〜廉〜

 あれは七月七日のこと。一度だけ、都内に慣れないお出かけをして、自分たちは大失敗していた。  デザイナーの専門学校の学園祭だった。廉はクラスの連中からその学祭の話を聞いて、ぜひ結衣を連れていって、多少はいいところを見せようとまで思っていた。気合を入れていたのだ。  服を新調したし、あの「スミレ色」のメガネだってかけていた。  しかし、とんでもなく場違いな場所に来てしまったとすぐに気がついた。  結衣はお洒落なワンピースを着ていたため、格好としては場違いではなかった。しかし、あまりににぎやかすぎるので人混みに酔ってしまう、と言った。  結局、二人して早々に退散して、涼しい都内の絵本カフェに避難した。  靴を脱いで上がるタイプの絵本カフェだった。結衣はよほど緊張していたのだろう。下が絨毯なのをいいことに、足をペタンと投げ出して放心していた。形の良い素足と、ワンピースから露出された華奢な肩が、急に廉の目に入った。  ノースリーブなのだから肩を出していても当たり前だと、朝方会った時には気にも留めてなかった。しかし、この格好。  薄い水色のワンピースだ。夏のお出かけ向きの、とても清潔感のある服装だった。みだらな要素など何一つない。おかしいのは廉の頭の中に違いなかった。  さっきの学祭で見た、ファッションセンスの塊のような奴らに影響されてしまったのかもしれなかった。連中は、髪だって緑とか金髪にしていた。  そう。これは、自分とは違う世界を見たせいだ。  廉は思い込もうとした。  結衣に気づかれないように、そっと距離をとる。  自分の体のどこらへんが熱くなっているのか、ということに気づいてしまい、耳まで真っ赤に染まってるのがわかる。早く落ち着け。と自分に言い聞かせていた。
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