「密談」〜廉〜

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「密談」〜廉〜

「それはもう、一泊しちゃいなさいよ。七里ヶ浜あたりならさ!」  姉の紗夜(さや)は、オレンジベルガモットティーという珍しい名前のドリンクを飲みながら、そんなことを言ってる。紗夜の隣には奏がいる。奏もまた「そうですよねー。紗夜姉貴の言う通り」と追随して、ニヤニヤして廉を見てる。 「さすがにできないよ。だって、彼女はまだ高校一年生だぞ」  廉は言ってはみたものの、本心としては「こんなチャンス、二度とないかもしれない」とは心底思うのだ。  目が覚めたら、あの子が隣にいてくれる。  そんなシチュエーションは、何度も想像した。人に言えないような想像ももう何十回となくした。  紗夜と奏は、廉のスマホにあったそれぞれの写真をお互いが見て、「この美女(イケメン)と会いたい」と廉にアピールして、今回の顔合わせとなった。廉の話を人の悪そうな顔で二人して聞いた後は、「ま、せいぜい頑張んな」と奏が廉の肩を叩き、「結衣ちゃんを奪いなさい!」と紗夜に言われ。  二人はこれからこの夏の街でショッピングするらしい。丸岡ビルあたりかもしれない。  廉も丸岡ビルに行くことにした。  いつか、結衣と行った和風カフェにひとりで行こう。この暑さでだいぶ行列ができているが、四十分待てば入れるということだった。その四十分の間に、下の階に行って急いで男性の海パンを買う。大したデザインではない。あくまで、主役は結衣なのだ。  胸に湧いてくる、ゲス極まりない妄想の数々。  どんな水着なんだろう?  水着売り場で女性ものの水着をたくさん目にしてしまい、慌てて目をそらした。  喜びすぎて、鼻血が出そうだ。  和風カフェに入ると、「ひんやりアイスクリームクッキー添え」とアイス抹茶をオーダーして少し待つ。出てきたアイスクリームに添えられたクッキーは、ハートの形だった。
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