ファーストキス〜廉〜

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ファーストキス〜廉〜

 廉がシャワーを浴びて部屋に戻ると、結衣は寝息を立てている。向日葵柄のワンピースは、この夏、何度か彼女が好んで着ていたもの。  廉は結衣のそばにいられるよう、ベッド脇の椅子にどかりと腰をおろした。カロリーメイトをもくもく食べるが、何の味もしなかった。  今、目の前で寝てるこの子に、何かしてしまったとしたら。  自分を信頼してくれているとわかる。そりゃ、そうだよな。元生徒会長の肩書きは伊達じゃない。校内でのいろいろな面倒を引き受けてきたし、いろんな我慢もしてきた。 「けどな。結衣。俺は『兄貴』じゃないから」  優しく、彼女に向かって呟く。そして、眠っている結衣の隣に一緒に横になる。結衣を引き寄せて、その頬にほんの少しだけ、唇を押し当てた。  ほんの一瞬だけの罪深い行い。  結衣は目を覚ましてはいない。
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