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再会だよ御子柴くん!
昨夜は夢を見ていたのだろうか。
そう思ったけれど、枕元に置いてある羽織に触れ、現実なのだと思い知る。
窓の外を観察しても、昨日のように謎の物体は見えなかった。確か、悪霊と言ったか。
「藍〜、学校遅刻するわよ〜!」
「はぁい」
階下から母さんの声がする。制服に着替え、まだ白紙の進路希望調査の紙をカバンに突っ込んだ。羽織は迷ったが、置いていくことにした。荷物になるし。
階下に降りると、すでに父さんと母さんは朝食を食べ終わるところだった。
「おはよう、母さん、起きてて大丈夫なの?」
「うん。朝になったら熱も下がってたから平気。心配かけてごめんね」
「ううん、良かったよ。あれ、父さん、脚の怪我治ったの?」
「ああ。俺も朝起きたら痛みがなくなってたんだ。藍も、随分顔色良くなったな。最近眠れてなかったんだろ」
「へ? どうしてわかるの」
「ふっ、見てればわかるさ」
どうやら不調は見抜かれていたらしい。心配かけたくなくて黙ってたんだけどな。
それに、昨日まで絶不調だった父さんと母さんも、すっかり元気になっている。おかしい。もしかして、神谷くんがこの家に住まう悪霊を退治してくれたからだろうか。
突然キスしてくるような変態だけど、強かったもんな。
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