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彼は僕の隣に優雅に着地すると、その美しい顔をずいと近づけてきた。どうやら恐ろしくパーソナルスペースが狭いらしい。思わず一歩後ずさろうとするが、後ろは崖であった。
「わっ」
「あぶない! 大丈夫かい?」
「えっ、あ、ど、どうも」
彼が僕の背中に手を回し、引き寄せて来る。益々男前と密着してしまった。彼のキラキラと輝く瞳が僕を観察してきた。
「うん、君、よっぽど美味しいんだね」
「はい?」
「器が広いのかな。随分と溜め込んでしまって辛かっただろう? 俺が楽にしてあげるからね」
「え、え? んんっ?!」
気が付いたら、男前にキスされていた。
(なんでキスっ?! 初対面でキス?! どういう神経しているんだっ! こいつ!)
慌てて彼の胸を押すが、びくともしない。それどころか、角度を変えて何度も何度もキスしてくる。わざとなのか、ちゅっちゅっと生々しい音が鳴るのも耐えられない。
しかし、何故だろうか。少しずつ身体のだるさが引いていくような気がする。
謎の美形は、少し唇を離すと、僕の顔を覗きこんできた。
この人、めちゃくちゃキス慣れてるーー。
僕はファーストキスだってのに!!!
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