10人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
彼が首を傾げると、美しい金色の髪もサラサラと流れていく。芸能人なのだろうか。
「あれ? うーん、まだまだこれじゃダメか」
「は、離れてくださいっ! 初対面でキスなんて何考えてるんです! いきなり抱き締めたり、キスしちゃいけないんですよ?!」
「わかった、今度はきちんと俺の唾液飲んでね?」
「はあっ?! んっ、んんんんっ!!!」
抗議の為開いていた口は、これ幸いと思い切りかぶりつかれた。容赦なく舌が入ってきて、僕の咥内を蹂躙する。
(ファーストキスだけでなく、ファーストディープキスも奪われるなんて?!)
一夜にして失いすぎじゃないだろうか。
体格差も合間って、覆い被さるように口づけされる。舌を絡め、吸われ、溢れた唾液を飲み込む。僕の喉がごくりと動くと、至近距離で見つめてくる彼の瞳が細くなった。
まるで、いい子と褒められているかのような錯覚に陥る。
与えられるがままに、ごくごくと唾液を飲めば、身体中に蔓延っていた重さが霧散していく。先ほどまでここから飛び降りたいと思っていた薄暗い気持ちも、波が引いていくように消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!