はじめまして御子柴くん!

4/11

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 どれくらい口づけをしていただろうか。 すでに僕は膝に力が入らなくなり、彼にしがみつくだけになっていた。目の前のイケメンは、僕を抱きかかえたまま、思う存分キスを繰り返す。最後に、じゅううっと舌を吸われ、ようやく唇が離れた。その頃にはもう舌がふやけそうになっていて、しばし舌を出したまま荒い呼吸を繰り返す。 「うん、しっかり悪いものが落ちたね。よかった〜!」 「はぁっはぁっ……はにゃして、ください……はぁっはぁっ」 「無理させちゃってごめんね。家まで送るよ」 「誰がっ、連れて行くと思いますかっ」 「え〜、命の恩人にその態度〜? 困ったなぁ」 「はぁっはぁっ、え? ていうか、何ですか。変なものが見えるんですけど」 「アハ、俺の唾液飲んだから君にも見えるようになっちゃったのか。 こいつら、悪霊のこと」 見渡す限り蠢く黒いもや。無数の赤い目がこちらをじっと伺っていた。森の生物ではない。絶対にこの世ならざるモノの類。さっきまでこんな奴等いなかった。 何故。 「ごめんね。ちょっと片付けてから、君のことおうちに送るね」  彼は僕を後ろに庇うように立ち上がると、足を大きく開き、呼吸を整える。 「祓い屋 神谷 玲桜(かみや れお)の名の元、お前たちを滅するっ!」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加