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どれくらい口づけをしていただろうか。
すでに僕は膝に力が入らなくなり、彼にしがみつくだけになっていた。目の前のイケメンは、僕を抱きかかえたまま、思う存分キスを繰り返す。最後に、じゅううっと舌を吸われ、ようやく唇が離れた。その頃にはもう舌がふやけそうになっていて、しばし舌を出したまま荒い呼吸を繰り返す。
「うん、しっかり悪いものが落ちたね。よかった〜!」
「はぁっはぁっ……はにゃして、ください……はぁっはぁっ」
「無理させちゃってごめんね。家まで送るよ」
「誰がっ、連れて行くと思いますかっ」
「え〜、命の恩人にその態度〜? 困ったなぁ」
「はぁっはぁっ、え? ていうか、何ですか。変なものが見えるんですけど」
「アハ、俺の唾液飲んだから君にも見えるようになっちゃったのか。
こいつら、悪霊のこと」
見渡す限り蠢く黒いもや。無数の赤い目がこちらをじっと伺っていた。森の生物ではない。絶対にこの世ならざるモノの類。さっきまでこんな奴等いなかった。
何故。
「ごめんね。ちょっと片付けてから、君のことおうちに送るね」
彼は僕を後ろに庇うように立ち上がると、足を大きく開き、呼吸を整える。
「祓い屋 神谷 玲桜(かみや れお)の名の元、お前たちを滅するっ!」
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