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「大丈夫?」
「あ、ありがとうございます……ていうか、誰があんたのものですか! 初対面なんですけど!!」
「アハ、ごめんねぇ」
全然ごめんと思ってないな。
神谷玲桜は静かに刀を鞘に戻した。まるで、異世界からやって来た勇者のようである。しかし、彼は僕と同じ東錦高校(あずまにしきこうこう)の制服を着ていた。こんな目立つ生徒、うちの学校にいただろうか。
彼が乱舞したおかげで、辺り一面に蔓延っていた黒いもやは一掃されていた。心なしか空気も美味しく感じる。
「よしっ、そしたら家まで送るよ!」
「結構です」
「え〜、なんで?」
「いきなりキスしてくるような変人とお近づきになりたくありません!」
「でも、君、俺が来なかったら死んでたよ?」
「っ」
彼は笑っているようで、目が笑っていなかった。確かに、神谷玲桜がいなかったら、僕は今頃崖の下で息絶えていたかもしれない。
「見たでしょ? あの黒い奴ら。あいつらは『悪霊』と呼ばれるものでね。俺たちはそいつらを滅する『祓い屋』という者なんだ。そして、君はどうやら悪霊に好かれやすい体質みたいでね。おうちもきっとすごいことになってるだろうから、行って良い?」
「えっ」
「良いよね?」
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