11 襲撃

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 せっかく祖父が連れ出してくれたのに。いとも容易く振り出しに戻ってしまった。  ここは王都から遠く離れた場所。誰の救いも望めない。  玄関から二つの人影が現れる。見間違えるはずもない。父と母だった。二人はリゼル達を見つけると、足早に駆け寄ってきた。 「お帰りなさい、メイユ」 「よく戻ったな。お前ならできると思っていたぞ」  口々にメイユを褒め、代わる代わる抱きしめる。見ているだけで心の温まるような、愛に満ちた風景だった。  それから両親は疎ましげにリゼルに目を向けるや否や、父親の方が大きく片腕を振り上げた。 「よくも魔女の役目を放棄したな! この役立たずが!」  リゼルの頬の上で鈍い音が鳴る。リゼルは打たれた頬を押さえてよろめいた。メイユの楽しげな嘲笑が響く。  ついで母が口を手で覆い、甲走った声をあげた。 「私の腹から〈鳥の目〉持ちが生まれるなんて恥だわ! メイユはこんなにいい子なのに、どうしてリゼルはそんなに馬鹿なの! 離れに閉じこめたのに、ちっとも考えは矯正されなかった。マギナの血を残すくらい大切な務めはないのに、どうしてそれがわからないの!」  父も母も、口を極めて罵る。ぐいと腕を引かれた。「来い! 躾直してやる!」と父が息巻いて、リゼルを朽ちかけた離れの方に連れていこうとする。左右をメイユと母に挟まれ、逃走は許されなかった。
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