13 エピローグ

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「実は、魔法をマギナにのみ独占させているのは良くないと、元老院でもずっと話し合われていたんだ。今後は、異国の魔法使い・魔女と連携し、国全体で魔法の研究を進めていく。ゆくゆくは研究機関を設立する予定だそうだ」 「そう、ですか……」  古王族の裔と謳い、魔法を唯一使える特別な一族だと驕っていた彼らには、この上ない屈辱だろう。けれど何年後か、何十年後か――全ての民が魔法を使うさまを夢想して、リゼルの口元が綻んだ。 「魔法が普及すれば、もっと発展は早くなるはずです。そうなったら良いですね。――でも」  この顛末に思い至ることがあって、リゼルは視線を落とした。 「では、この件は千載一遇の好機だったわけですね。マギナ家から魔法を取り上げるために……」  知らず背中が丸まっていく。心臓が軋んで嫌な音を立てた。ならば、グレンの不思議な行動の全てに理屈で説明がついてしまうのだった。 「だから、旦那様もずっと演技をなさっていたのですね」  目の奥が熱くなる。喉に重苦しい塊がせりあがってきて、声が震えそうだった。  そういうことだった。記憶を失ってから、人が変わったようにリゼルを大切にし始めたグレン。当然だろう。全てはマギナ家を油断させるための振る舞いだったのだ。 「裏にそのような思惑があったことは否定しない」
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