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「……アイツに、なんか言われた?」
って、、本当にずるいなぁ…颯斗は。
今の今まで”香菜”のことでヤキモキしていたのに、黙っていた心の傷に颯斗が気付いてくれるから…肝心なところで、一歩踏み出せなくなる。
「菜々……?」
「私が、ちょっと過敏すぎるだけだと思う」
「……何かされたのか?」
「少しだけ、髪の毛を触られてっ……」
「あー…それで、あのシャンプー?」
「……市販のシャンプー剤は洗浄効果が強いからよく泡立つ、って前に颯斗が言ってたからっ」
「そんな話、よく覚えてたな…だからって、あの男の為に菜々が髪を傷つける必要は無いだろ」
呆れているのか、怒っているのか…少し低い声でそういった颯斗は…一度リビングを退室してから、ドライヤーとブラシ、ヘアオイルなどを手に持って戻ってきた。
「……座って、菜々。あの男に傷付けられた髪も心も。全部俺が元に戻してやるから」
確かに、颯斗が触れてくれるだけで八雲先生のことは浄化されるし、ブローしてもらえば髪も元通りツヤを取り戻すことが出来るだろう。
─…でも、、
颯斗自身につけられた傷は、どうやって元に戻せばいいのだろうか。
そもそも…元に戻せるのかな、、
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