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このままでいいとは思っていないが、なぜか颯斗は私のことを手放すような素振りを見せない。
セミナーをキャンセルしたこともそうだが…今日もご飯を作ってくれたり、髪を乾かしてくれたり。
私に飽きたり、嫌いになったのなら…もう少し冷たい態度をとったり突き放してくれた方が、こちらとしては諦めがつくというか、、
別れも視野に入れて本腰を入れて颯斗と向き合おうという気になるのだが、中途半端に裏で隠されているだけのこのいまの曖昧な状況。
下手に疑いの目をかけて万が一、全て私の勘違いだった場合…取り返しのつかない事になりそうで…それが怖いのだ。
朝、先に起きて朝食の準備をしているところに起きてきた颯斗。私がメッセージを見たなどとは知らない様子で─…
「おはよ、菜々」
と言って、キッチンに立っている私の元まで歩いてきて…一瞬触れるようなキスを頬に落とすと、水を飲んでからリビングを出ていった。
その直後、ダイニングテーブルに無造作に置かれていた颯斗のスマホがふわっ…と光を灯したのが見えて、、思わず駆け寄って画面を覗き込んでしまった。
香菜からの追加のメッセージだろうか、っと疑いながら颯斗がまだ戻ってこないことを確認して画面に目を向けると、、
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【新着メッセージ 一件】 たった今
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朝起きて直ぐに颯斗がメッセージアプリにロックを掛けてしまったのか…スマホ自体にロックを掛けたのかまでは不明だが、、
内容が表示されない通知方法に変わってしまっているのを見て…もう無理かもしれないと思った。
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