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「食べ終わったなら風呂入れ、って言った」
私の横を通り過ぎて、ダイニングテーブルに再び腰掛けた颯斗。もう一本缶ビールを冷蔵庫から出してきたのか…蓋を開けてグラスに注ぎながら、片手でスマホを操作し始める。
萩花さんからの着信では無いことを確認したと思われる颯斗。この後どんな行動に出るのか…黙って観察していると─…
ふと、顔を上げた颯斗と視線が交わった。
「……ん?」
「ん?じゃなくて、風呂…入れば?」
普段なら「入ってくる〜」と言って洗い物をお任せするところだが…今日に限っては何だか早くお風呂に入るように急かされているような気持ちになってくる。
それもこれも…きっと、美雪に言われた”浮気”という言葉が自分の中でどこか引っかかっているせいなのだろう。
「きょ、今日は私…休みだったし、全然疲れてないから洗い物してからお風呂入るよ!」
何となく、いまこの場を立ち去ることを避けたくて「ご馳走様でした」と手を合わせてから逃げるようにキッチンへと向かった。
「あー…昼メシ、食いに行くとか言ってたな」
「うん…って言ってもいつもと同じで相手は美雪だけど。私の職場の近くにあるイタリアンのお店でパスタランチ食べたよ」
美味しかったなぁ…と感想を伝えながら、シンクに溜まっている食器たちを洗い始める。
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