アイラブユーを聞かせて

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******* あの日から…颯斗は、宣言していた通り本当に帰りが遅くなった。連休が取れたと言っていたお盆も結局…仕事に出ることにしたらしく、、 セミナーとか、旅行とか─…そういう話をする理由も無くなった。 店長だった萩花さんの突然の妊娠。 悪阻や体調不良で休むこともあり…彼女の受け持っていたお客さんの対応に追われるのは、後任の店長となった颯斗の仕事みたいだった。 やりがいを感じて、自分の時間を削ってまで仕事に打ち込む姿は…本当に凄いと思うし、尊敬もしている。 ただ…なにを焦っているのか。 ここ最近の颯斗は少し働きすぎでは?っと心配になるほどに…朝も早いし帰りも遅い。 颯斗に対して色々思うことはあるが…純粋に、身体を壊してしまうのでは無いかという心配が芽ばえる。 意識しなくても必然的にすれ違うような生活になってしまっているせいで、自分の話しをするタイミングも掴めずにいた。 波風を立てないように、当たり障りのない会話だけを繰り返す日々に…少し息が詰まりそうになってきた。
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