アイラブユーを聞かせて

14/141

847人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
スマホから顔を上げた颯斗が、こちらに視線を寄越してきて…目が合ったまま少し沈黙が流れる。 「別に、大した用じゃない。営業終わりに掛けてくる内容なんて急ぎの連絡じゃないから…菜々が気にするようなことじゃない」 先に沈黙を破ったのは颯斗。営業が終わってから萩花さんが連絡してきたところで…至急の案件では無いのだ、っと言われたのは理解出来る。 ──…でも、、 さっきの着信は、萩花さんじゃ無かったよね? …なんて、続けて聞けるほど私のメンタルは強い訳では無い。 「そっか…ごめん。この時間だし急ぎの連絡なのかなって、ちょっと気になったから…ごめんね」 残りの洗い物を早急に片付け、お風呂場へ逃げようとキッチンから出た私に─… 「……俺も、強く言いすぎた。ごめん」 って…颯斗が謝ったりするから、、結局私も許してしまう。これ以上聞くのは辞めようって思っちゃうんだよ。 それでも…最後まで着信の相手が萩花さんではなく”香菜”であったことを言わなかった颯斗。信用していない訳では無いが…疑ってしまうには十分すぎる案件だ。 なぜならこれまで一度だって、颯斗は私に隠し事なんてしたことが無かったから─…
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

847人が本棚に入れています
本棚に追加