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スマホから顔を上げた颯斗が、こちらに視線を寄越してきて…目が合ったまま少し沈黙が流れる。
「別に、大した用じゃない。営業終わりに掛けてくる内容なんて急ぎの連絡じゃないから…菜々が気にするようなことじゃない」
先に沈黙を破ったのは颯斗。営業が終わってから萩花さんが連絡してきたところで…至急の案件では無いのだ、っと言われたのは理解出来る。
──…でも、、
さっきの着信は、萩花さんじゃ無かったよね?
…なんて、続けて聞けるほど私のメンタルは強い訳では無い。
「そっか…ごめん。この時間だし急ぎの連絡なのかなって、ちょっと気になったから…ごめんね」
残りの洗い物を早急に片付け、お風呂場へ逃げようとキッチンから出た私に─…
「……俺も、強く言いすぎた。ごめん」
って…颯斗が謝ったりするから、、結局私も許してしまう。これ以上聞くのは辞めようって思っちゃうんだよ。
それでも…最後まで着信の相手が萩花さんではなく”香菜”であったことを言わなかった颯斗。信用していない訳では無いが…疑ってしまうには十分すぎる案件だ。
なぜならこれまで一度だって、颯斗は私に隠し事なんてしたことが無かったから─…
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