アイラブユーを聞かせて

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その直後、玄関から鍵を回す音が聞こえてきたので…慌てて手の中にあったスマホを元の場所に戻し、何事も無かったかのようにキッチンに向かった。 「ただいま……ってか、まさかの品切れ。なに?今りんごジュース、バズったりしてんの?聞いたこと無いけどな。」 持参したエコバッグの中から、パックのフルーツオレを取り出して私に差し出してきた颯斗。エコバッグを持ち歩いていることがギャップすぎて、毎回この光景を見たら、、 『今日もエコだね。凄いギャップ…颯斗は地球に優しい男子だね』 『地球に優しい男はタバコなんか吸わない』 なんてやり取りをするのが定番だが…今はそんな冗談を言えるほど、私の心は穏やかではなかった。 「……颯斗、今日なにか予定ある?」 先程見てしまった香菜とのメッセージのやり取り。もし、あれが本当なら…私は今日仕事を休んで颯斗のことを尾行してみようと思う。
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