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私が上がったタイミングで、歯ブラシを戻しに来た颯斗。既に部屋着に着替えて居たので裸で出迎えることにはならなかったものの…なんとなく、気まずい。
先に髪を乾かそうと思い、ドライヤーを手にした時…横から手が伸びてきて颯斗にドライヤーを奪われた。
「……俺が乾かした方が早い。」
そう言って、手持ち無沙汰になった私に歯ブラシを握らせた颯斗。……なるほど。乾かして貰っている間に私は歯を磨けと言われているらしい。
仕事柄、毎日たくさんの人の髪を乾かしているからなのか何か特別なやり方があるのか、、
颯斗が乾かしてくれた方が、格段に早く髪が乾くのは事実だった。温風と冷風を使い分けて髪に指を通しながら匠にドライヤーを操る颯斗。
我が彼氏ながら、鏡越しに見惚れてしまう。
「……手、止まってる」
ポカン…とマヌケ顔で颯斗を凝視している私の顔が鏡に映っているのが見えて、慌てて手を動かして歯磨きを再開する。
だけど、このカッコイイ颯斗の姿は─…
私が独り占めできる訳では無いんだよな。
男女問わず、お客さんがたくさんついている颯斗は少しばかり有名で。雑誌に取り上げられたり、SNSのフォロワー数はかなり沢山存在したりする。
言うなれば─…カリスマ美容師、というやつだ。
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