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「……え、それで結局着信の件は保留?」
日曜日、勤め先の歯科医院が休診の私と公務員で休みがカレンダー通りの美雪。予定が無ければ毎週のようにカフェやランチに行くのが私たちの休日の過ごし方。
この日もお互い暇だったので、常連になりつつあるカフェで集まって先日の”香菜”の件を会って早々に美雪に相談したのだが─…
「疑う隙を与える前に、身体を重ねて黙らせておこう的な?これは吉岡の浮気説が、どんどん濃くなっていくね」
なんて、恐ろしい発言が降ってきて…一時的に鎮火しつつあった不安の熱が再び燃え上がってくる。
「こんなこと、言いたくないけど…自分の彼女と名前が似てる女と関係を持つって、浮気業界の中では結構定番だと思うよ」
「……浮気業界って、」
「呼び間違えたりしても、あんまり気付かないでしょ?正直、”ナナ”と”カナ”なんて…エッチしてる最中に間違われても分かんなくない?」
「ちょ、ちょっと…それは流石に言い過ぎ。颯斗はそんなことするような人じゃないっ」
「……どうだろうね?アレはアレで、モテるだろうから。ムカつくけど顔だけ見たら確かにいい男だし…手に職があって、役職までついてる上にSNSでは大人気で予約が1ヶ月先まで埋まってる…っとか、何もしなくても女の方から寄ってくるでしょ」
颯斗が人気のある美容師さんだというのは私も理解している。
それでも、お客さんとのやり取りはトラブルを防ぐ為にSNSのダイレクトメッセージのみで連絡を取り合うことがお店の規約で決められているみたいだし、、
余程のことがない限り、個人の連絡先を教えないと入社当初から言っていたので…あまり心配することなく、むしろ颯斗の仕事が上手くいくことは私もとても嬉しかった。
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