アイラブユーを聞かせて

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その日の夜、颯斗から【遅くなる】と連絡が入ったので先に夕飯を済ませてリビングでテレビを見ながらボーッとしていた。 明日、颯斗は休みなので…今日は遅くまで後輩のレッスンに付き合っているのかもしれない。 残業代もつかないのに残って技術向上に励むなんて…本当に専門職は大変だなぁ、と颯斗と生活していると常々感心する。 「……、菜々」 「…え……?」 「え、じゃなくて……あー、もういいわ」 いつ帰ってきていたのか、仕事帰りだと思われる颯斗がリビングに顔を出していてとても驚いた。 「ごめんっ…帰ってたの気付かなくて。おかえり颯斗、遅くまでお疲れ様」 機嫌を損ねたみたいで、既に洗面所へ手洗いに向かっていた颯斗を追いかけ背後から声を掛ける。 「……ただいま」 っと一言、こちらを見ることなく呟いた彼を見てその機嫌の悪さを何となく悟る。
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