アイラブユーを聞かせて

29/141

841人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
「……さっき、何か言ってた?ごめん、テレビ見てたから気付かなくて」 「あぁ、別に…また後で話す」 疲れた、っと言って私に背を向けてリビングへと戻っていく颯斗はやはり、どことなく不機嫌。もしかしたら何度か私に声を掛けてくれたのかもしれない。 美雪に言われた”浮気疑惑”がどうしても頭から離れなくて、一人になるとつい考え込んでしまう。 これじゃあイメチェンなんて披露する前に、颯斗とのすれ違いが生じて更なる関係性悪化に繋がりかねない。 ─…何とか、名誉挽回しなくては 「お腹空いてるよね?夕飯、今日はチキン南蛮にしたんだけど…これが結構いい感じに出来て、」 「─…菜々。悪いけど俺、今から出掛ける」 耳を疑うようなその発言に、思わず手を止めて颯斗の顔をジッと見据えてしまう。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

841人が本棚に入れています
本棚に追加