アイラブユーを聞かせて

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仕事に行くだけなのに、なんだか大袈裟に着飾っているように見えるなぁ…と思いつつ。 久しく身につけていなかった華やかな洋服を纏ってみて、自分的には少しワクワクしたような新鮮な気持ちだった。 普段はストレートで下ろしている髪の毛も、ヘアアイロンを使って軽く巻いてみた。そうなるとメイクにも少し気合いが入ってしまい…… まるでこの後遊びに行く…みたいな容姿になっていることに気が付き、慌てて手を止めた。 「いやっ、遅刻する…何してるの、私っ!!」 壁時計に目を向けるといつも家を出ている時間が迫っていて驚いた。慌てて鞄を持って、やや小走りでリビングを出た時─… 騒がしくバタバタと急いで用意を始めた物音で目が覚めてしまったのか…寝室から出てきた颯斗とちょうど鉢合わせてしまった。 「っあ、颯斗おはよっ!朝ごはん用意してるからパントリーにあるクロワッサンと一緒に食べてね!ごめん、遅刻しそうだからっ!もう行く!」 まだ眠いのか…目を擦りながらボーッと突っ立っている颯斗に早口で話しかけて、彼の目の前を横切り玄関へと足を進めた。 ……はずが、、 すれ違いざまにグッと腕を掴まれ…玄関へと向かう足を止められてしまった。 「……なに、その格好」
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