アイラブユーを聞かせて

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「そこの角で降りるよ!曲がったら帰り…Uターンするの大変でしょ?休日なのに送ってくれてありがとう、ゆっくり休んでね」 医院の前は道が狭く、Uターンするのが大変なので…曲がる前に降ろしてもらおうと声をかけたのだが、颯斗はそれを無視して車を左折させた。 「……あ、ありがとう」 結局、医院の目の前まで送ってもらい…車を降りようとしたのだが。なぜか颯斗まで一緒に車を降りたので驚いた。 呆気に取られて、車外に出た颯斗を凝視していると…何を思ったのか彼は私の座る助手席のドアを開けて”降りろ”と目配せをしてくる。 そんな紳士的な行動を未だかつて颯斗にしてもらったことがない私は、その行動に素直に甘えていいものなのか不安になる。 「……菜々、遅刻する」 その言葉にハッと我に返り、慌てて車から飛び出すと…そばで立っていた颯斗が私の髪に一瞬だけ触れた。 「帰り、迎えに来るから…外食して帰ろう」 「……え…っ」 珍しいお誘いに、聞き間違えたのかと思ったが…僅かに微笑んだ颯斗の表情を見て、こちらも釣られて笑顔を返してしまう。 「じゃ、仕事……頑張って」 そのまま颯爽と去ってしまった颯斗の運転する車が見えなくなるまでその場を動けずに居ると… 「……朝から、お熱いね。彼氏かな?」 いつからそこに居たのか…背後に八雲先生が立っていることに気付いて物凄く慌てた。 ……颯斗は八雲先生が後ろから歩いてきていることを、知ってたのかな?
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