アイラブユーを聞かせて

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「ス、スマホ…見ていいってこと?!」 「……なんだよ、今更。別に菜々に見られて困るようなもん入ってないけど。」 まさか、こんなにも堂々とスマホを見ていいと言われると思っていなかったので拍子抜けする。 こんな渡し方をされると…逆にその中を見るのは失礼なことのように思えて、スマホを覗く気になれないから不思議なものだ。 「逆に……菜々は俺に見せられないわけ?」 「え…?!なに、なんか言った?」 手の中にある颯斗のスマホが、とてつもなく重たいもののように感じ…両手で握りしめてジッと眺めていたせいで、何を言われたのか分からなかった。 「………別になにも。店着いたって言った」 ふと顔を上げると、昔からよく二人で食事をするお好み焼きのお店が視界に入った。高級レストランやお洒落なイタリアンよりも…… 颯斗と二人でワーワー言いながら焼いて食べるお好み焼きが、私は一番好きだったりする。
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