アイラブユーを聞かせて

57/141

883人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
「…鷺坂さんは、同じお店で働く女性スタッフさんと恋人関係になったこととかあるんですか?」 「え?なになに、俺に興味出てきた感じ?嬉しいなぁ…菜々ちゃんには嫌われてると思ってたからお近付きになれて嬉しいよ」 そんなつもりで言った訳じゃないのに、っと思いつつ。颯斗の友人である彼と気まずい関係になるのは避けたいのも事実なので。 お好み焼きを切り分けて、鷺坂さんのお皿に乗せて彼の回答を待った。 「まぁ…あるかないかで聞かれると、そりゃあるよね?ほら、美容系に進む女の子ってお洒落で可愛い子が多いし。先輩スタッフは美人だし、同期は話が合って頼りになるし、後輩は可愛いし?」 「……女の子、大好きなんですね」 「男なんてみんな下心しかないからね。仲良くなったら客と連絡先交換して飲みに行ったりもしてるよ」 「…………そうなんですか?」 「そうなんですよ。何か謎にモテるんだよね、この仕事」 天職だわ〜…、と言ってお好み焼きを食べ始めた鷺坂さん。全然笑えないその言葉を聞いて食欲が失せ始めた私は、颯斗が戻ってくるのを切に願う。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

883人が本棚に入れています
本棚に追加