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颯斗が戻ってきたことによって、食欲を取り戻した単純な私は…お皿に乗せてもらったお好み焼きに手をつける。
「でさぁ…とりあえず全頭ブリーチしたんだけど、やっぱ毛先に黒染め残ってて。案の定、毛先沈んでやり直せって文句言われたわ。」
「まぁそれは…鷺坂のカウンセリング不足だろ」
「いや、5回は聞いたよ?!黒染めしてない?してるよね?絶対したことあるよなあああ?って」
「怪しいと思ったなら断ればいいだろ。」
「……デザインカラーは単価高いし、売上に繋がるから断るのは勿体ない気がしてっ」
「それで失敗するとかないわ。客に同情する」
「はやとぉお〜…俺にカラーの知識分けてえぇ」
よく分からない仕事の話しが始まると、私は参加出来ないので…大人しくお好み焼きを頬張って二人の話を聞いていた。
その間、鷺坂さんが手をつけたもんじゃ焼きの部分を私が食べなくていいように…颯斗が丁寧に鉄板の上でもんじゃ焼きを分けてくれた。
「……菜々はこっち食べて」
潔癖という程でもないが……私が他人と食べ物をシェアしたり鍋料理を同じ箸でつついたりするのが苦手だと知っている颯斗。
こういう気遣いを忘れないところが…好き。
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