アイラブユーを聞かせて

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「ないって、言ったよな?仮にあったとして…それが何なんだよ。職場の人間と会話するのは当たり前だろ。何が言いたいんだよお前…ウザいな」 「い、いや…何か俺が特別チャラいみたいに菜々ちゃんに思われたかなぁっと思って。颯斗もそういう経験あるよな?って言いたかっただけで、」 「鷺坂の印象が悪いのなんて今に始まった事じゃないだろ。今更菜々に気に入られる必要がどこにある?」 「……あのさ、そんなに怒ること?その調子だと逆に、何かやましい事があるんじゃないかって菜々ちゃんに思われても仕方ないと思うけど。」 颯斗の態度に苛立ったのか、鷺坂さんも少し口調が強くなり始めた。 何だか険悪なムードになりつつあるので、話を変えようと注文のタブレットを手に取りデザートのページを開いて二人に見せようとした時─… 「鷺坂に菜々のことを語られるのは、不愉快だ」 と、冷たく言い放った颯斗は…まだ残っているお好み焼きやもんじゃ焼きを放置して、私の手を掴んで席を立つ。 「あ、あの……颯斗っ、まだ残ってるけど」 「適当に誰か呼んで食べるだろ─…もう帰るぞ」 こんな別れ方をして大丈夫なのかと、振り返って鷺坂さんを見つめるが…彼は特に気にしていない様子で笑顔を向けて手を振っている。 男子の友情関係は私にはよく分からないが、そのうち仲直り出来るならそれでいいのだが。 結局、鷺坂さんの問に対しての颯斗の回答は…何とも曖昧なものだったように思えたので。今ひとつモヤモヤが晴れることは無かった。
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